研究紹介

将来の災害レジリエンスをデザインする

社会の災害レジリエンスをデザインする際には、レジリエンスの4つの要素である「致命的な被害を負わない強さ、速やかに回復するしなやかさ、緊急対応、よりよい復興」をいかにバランスよく構成するかが、カギです。

大原美保研究室では、①社会の災害リスク・レジリエンスの評価、②災害リスクの可視化、③災害レジリエンス向上に向けた国内外での実践活動、④人材育成という4つの研究活動に取り組んでいます。

1.社会の災害リスク・レジリエンスの評価

災害リスク・レジリエンスの評価手法に関する研究を行っています。特に、近年は、被災後の住民・事業所等の「速やかに回復するしなやかさ」に着目し、時間経過に応じた回復過程を記述した回復曲線の作成、回復を妨げる/推進する要素の検討などの研究を行っています。

平成30年7月豪雨災害での企業の営業再開曲線の作成例

2.災害リスクの可視化

災害リスクをわかりやすく伝えて、「ジブンゴト」と捉えてもらい、事前対策の実施を推進するための災害リスクの可視化に関する研究を行っています。

河川氾濫の3次元での可視化

3.災害レジリエンス向上に向けた国内外での実践活動

国内外の研究フィールドにおいて、災害リスク評価や可視化結果に基づくEvidence-basedなリスク軽減策の立案・対策実施を目指して、現地実践活動を行っています。

近年は、JST・JICAの地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)として、フィリピン共和国における水災害リスク評価及び気候変動適応策の検討に携わっています。

フィリピン共和国での実践活動対象流域

4.先読みスキルを持つ人材の育成

社会の災害レジリエンスをデザインするためには、災害時の社会の姿を短期・長期で先読みできる人材の育成が必要です。これらの人材育成やそのための研修手法などの研究を行っています。

災害リスク・レジリエンスの評価、可視化だけでなく、近年は災害対応における事態の先読みにも着目し、災害時に困る事例(災害対応ヒヤリ・ハット事例)の収集及びそれらの事例に基づく研修プログラムの開発を行っています。